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電子カルテを申し送りのツールとして使うのは危険です

患者情報の属人化の対策は多くのクリニックが講じているとは思いますが、その対策として電子カルテの患者ページに全てのメモ書きを突っ込む、という対応を取っているクリニックがあります。

しかしながら、電子カルテはあくまで「診療録」であり、どんなに工夫が凝らされていたとしても「能動的にその人のカルテを開かないと情報にアクセスできない」という点で申し送りツールとしては不完全です。

私も様々なクリニックでスポット的にアルバイトをしていますが、経時的に追いかけていくとリアルタイムの患者情報の共有の仕組みを上手く作れていないクリニックではコミュニケーションの質の劣化がみられ、情報伝達に危うさを感じることがあります。そのことについてお話ししました。

以下、書き起こしです。

はい、こんにちは。
よろしくお願いします。                                                   

今日は情報の属人化というテーマでお話をしたいと思います。
当然、属人化は避けていきましょうという内容のお話になります。

あるクリニックで見たことですが、ある看護師さんと先生が特定の曜日の午後、毎週固定で施設に診察に行っているそうです。

その施設の患者さんが結構多く、先生が1コマでさばくにはちょっと人数的に厳しい数ではあるんだそうです。

その為、先生のカルテの記載が薄くなってしまっていて、しかも手が入っていなくてサマライズされておらず、どういう診療経過になっているのかわからないような患者さんが増えてきていたんですね。

カルテに書いてある情報が非常にわかりにくいので、院長先生がその看護師さんに、ちゃんとカルテを整理するように先生に伝えるよう言ったわけなんですけれども、その看護師さんがカルテには書いていないけれども、私はきちんと覚えていてずっと長く診察に同行しているから全て分かります。休日に変化があった時に知りたい情報があれば私に電話をしてください。それでいいでしょと言うような反論をしていたわけです。

これは当然ダメなんですよ。カルテには、その後の体調の変化があった時に必要な情報というのが当然書かれているべきです。

医療的な判断というのは、その時に診察した医師の責任のもとに行われるものですから当然のことですね。

この看護師さんの言ってることはもちろん間違っていて、多くのクリニックではこういうことは、まずやらないだろうと認めないだろうと思います。こう言ったことを職員が言い出す前に、手を打っていることだろうと思います。

しかしちょっと手を打ちすぎたクリニックも、私がスポットで色々なクリニックに行っている中で見るようになってきています。

特に患者さんが増えてきた伸びてるクリニックで情報伝達のあり方がよろしくないなと思うのは、例えば「明日〇〇さんにこれを電話しください」といった事項も含めて全てカルテに書いてしまおうという(申し送り事項など診療に必要な情報はすべてカルテに書きましょうというのは当然なんですけれども)カルテを診療録じゃなくてメモ代わりに使うようになってしまっているクリニックが最近在宅の業界では多くなってきていて、ちょっとこれはまずいんじゃないかなというふうに思っています。

まずカルテが見づらいというのと、そもそもカルテというのは開かなければ目に入ることがありませんので重要な申し送り事項を見落とすリスクが極めて高まります

ですのでカルテをメモ帳代わりに、申し送り帳として使うのは完全に誤りです。

申し送りをしたいのであれば、例えば院内でSlackとかLINE WORKS を開くとか、あるいはですねMediLineというアプリ(この三つは有料ですけれど)もあります.

職員間の申し送りに関しては、診療録ではありませんので別のプラットフォームを用意する必要があります。

あるいはそのプラットフォームサービスを契約する余裕がないとか、まだそれも必要ないだろうと思われるような規模の場合は毎日短時間でいいので、きちんとカンファレンスをして、日勤帯と当直帯の情報のやり取りを必ずやっていく必要があるだろうと思います。むしろこれをやった方がいいだろうと思います。

以前撮影した動画で、私は紙カルテは必ずしも悪くはないという話をしました。紙カルテの場合はこういった申し送りをするためにカンファレンスをちゃんと毎日行わざるを得なくなりますので、その意味で職員が責任を持って情報収集をするようになるという点が、紙カルテのプラスな点です。

ただし患者さんの数が増えてくると紙カルテでは維持が難しいということなので、電子カルテになった場合、電子カルテはあくまで診療録なんだよ。ということをきちんと念頭に置いた上で職員間のコミュニケーションに関しては別の場所で行って必要なことが確実に伝わって且つ見逃しが起こらないような仕組みにしていく必要があると思います。

今日の話は以上です。