慢性期病院で当直をしていて気づいた、在宅医療の社会的な立ち位置

在宅医療はどういう患者さんに対して、医療的問題に関する解決策を提供しているのでしょうか。私見を説明しました。

以下、書き起こしです。

今日は普段と趣向を変えて、在宅医療の社会的な立ち位置についてお話をしたいと思います。

タイトルは、「在宅医療はどういった社会的ニーズへのソリューションなのか」ということでお話をします。

今日は図の真ん中に大きく、四つの象限に患者さんを分けた図を描きました。

患者さんを四分類するにあたって、軸が二つあって、一つの軸が住環境、お住まいです。

二つ目がお金を有無です。お金の有無と住環境で、患者さん分けたいと思います。

この住環境のあるなし、特にスペースと考えて下さい。面積です。

住環境のあるなしと、お金のあるなしですけれども、いつの時代も快適で十分な住環境があって、なおかつお金がある人は、療養スタイルを選べるんです。

おそらくこの人たちは保険制度がなくても、自分の好きな場所で闘病して、最終的にはお亡くなりになるという、終の棲家を自分の力で用意できる人達です。

ですからおそらく社会的に、今困ってるな、と認知されることはなくて、実際本人たちも他の方と比較して、相対的にではありますけれども、その病気の苦しみを除けばあまり困ってることがない人達ということになります。

ですから今日は、この人たちについては置いておきたいと思います。

この第二象限の、あまり困ってない人達については今日は触れないということで行きたいと思います。

今日お話しするのが、主に第一象限の、住環境がないけれどもお金はある人。それから第三象限の、住環境が一応あるけれどもお金がない人です。ないといっても全くない訳じゃないです。相対的にお金持ちとは言えない人のことです。

第一象限の人と第三象限の人についてお話をすることになります。

今日こういうお話をしようと思ったのが、少し前置きが長くなってしまうんですけれども、私が在宅医療のアルバイトを始める前に、いろんな病院での当直、普段の業務に差し障りのないぐらいの、夜に数回呼ばれるかなぐらいの当直をいろんな病院でやってたんですけれども、都心近い慢性期の病院にはある特徴があるのに気づきました。

その一つに私まだ、初心を忘れないために行くんですけども、どういった特徴かというと、たとえば癌末期とか、終末期の患者さんが慢性期の病院において、そういう病院は大抵薄暗くてジメジメしてるんです。

あまり金回りが良さそうには見えないんです。古い病院で薄暗くてジメジメしたところが多いです。

患者さんも個室とかには入るお金がないのか、大部屋主体で運用されていて、とにかく都市部ではそういった慢性期病院が終の棲家と、患者さんが重症あるいは治らない例えばがんとか心不全の末期の患者さんの終の棲家として運用されていて、そういった病院が福祉の機能になっているんだということが、いろんな病院の当直で感じたことです。

こういう病院がどういったニーズに応えているのかと言うと、流行ってなさそうな病院だから、薄汚い病院だから、暗い薄暗いじめじめした病院だから社会的ニーズを果たしていないわけじゃないんです。
十分に、あるニーズを満たしてるなと私は思っています。

それは十分な住環境がないけれども、病院の入院費くらいはかろうじて出せる人たちの、終の棲家に、そういった病院はなってるわけです。

おそらく、都心部のそういう病院は、古くて薄暗くてジメジメした病院なんですけれども、それは都心部が土地代が高く、地価が高いから病院の運営を圧迫しているのであって、おそらく地方に出れば、このような薄暗いじめじめした病院にいなくていいんだろうな、とも同時にそういった病院で当直してる間に思ったわけなんです。

そこからのアナロジーというか連想するに、在宅医療というのは、この図の中で赤印で囲った第三象限と一部と、第四象限にまたがる人たちです。

お金が比較的あるとは言えない、ない人たちなんだけども、住環境、家は持ってます。かろうじて戸建てとか都心部で比較的広めのマンションぐらい持っていますよ、という人たちが、在宅医療を選択できるように新たになっています。つまりこれまではお金が比較的ないんだけれども家だけは持ってます、という人たちは、お金を家族が一生懸命稼いで、少し手出しをした上で、その都心部の薄暗くてジメジメした慢性期病院に入っていたわけなので、そういう人たちが家で最後の療養をする道を開いているのが、在宅医療だという風に認識しています。

一言で言ってしまうと住環境が一応あるけれども、お金が即金としては用意ができない。つまり家を換金してしまえばお金を出せるんだけれども、手持ちの現金はない、という方に対するソリューションが、実はこの在宅医療なのではないかな、という風に思います。

つまりこれまでは医療費として病院に支払われていたお金の大部分、かなりの部分が、都心部では、病院が建ってる土地代建物代として使われていたわけなんだけれども、そこを患者さんの家と言うスペースを用意してくれるわけなので、クリニックに対して、当然病院に入院された時より医療機関に入るお金は少ないわけですけれども、普通の外来診療と比べると高めのフィーを在宅クリニックに保険診療として健康保険組合から出していただくことで、手持ちの現金は少ないんだけれども、住環境がある人に対するソリューションとして、在宅医療が上手に機能するように、保険制度が最近作られてきたんだなと、ここ数年やっていて思います。

できればこの第四象限の、お金もなくて住環境もないという人にも、医療が届いていけばいいのかなという風には思いますけれども、保険制度や価格とか、あるいはその患者さんの負担率とかは、社会制度社会状況の変化に伴ってこちらも変わっていきますので、この第三象限から第四象限に広がる範囲を、在宅クリニックはこれから対応していくことになるのではないかなと思います。

今日は、在宅医療というのはもちろん豊かな人に対しても行われるものであって、確かにそういった方々に対する医療を提供する側としても楽なんですけれども、基本的には在宅医療が新しく開いた医療のフロンティアというのは、住環境があるけれども手持ちの現金がないという人、住宅という資産はあるけれども現金はないという人に対する、快適な療養の道を開いたということをお話をしました。

在宅クリニックをこれから開業されようとしている先生、あるいは今は外来診療しかやってないけれども、これから在宅部門を開設しようとされている先生方の参考になれば幸いです。

関連記事:  採用薬について意外な盲点ー点滴ルートを取るのに苦戦することありませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA