在宅看取りをどの程度強くおすすめするか

お看取りは在宅医療において重要なトピックの一つです。ここに力を入れていくのであれば、スタッフの採用や教育などをしっかりと行っていく必要がありますので、運営の方針が変わってきます。そのことについてお話ししました。

以下、書き起こしです。

こんにちは。

今日は患者さんの家族に対して、在宅での看取り、最期を迎えるということを、どの程度プッシュするかお勧めするか、ということが在宅診療所のカラーを決めていますよ、というお話をしたいと思います。

いろんなクリニックに仕事に行くと、患者さんをほぼ全員、在宅で看取るようにおすすめをして、実際にそのようにしているクリニックもありますし、患者さんの病状が悪化したら病院に行きましょうね、と比較的救急車を呼ばせるハードルの低いクリニックというものも存在します。

どちらがいいかという話は、多様性を認めるという観点で、私は両方あっていいのではないかなと思います。最期を迎える場所というのは、やはり患者さんとかご家族が決めることですので、その両方のお手伝いができる状況が保たれることが、国民のメリットになるだろうと思うからです。

それぞれ事務員を中心に、在宅の看取りを強くお勧めしているクリニックと、そうでないクリニック、それぞれが特色を出していければいいと思うので、まず院長先生がスタンスを決めるということが大事ですし、それぞれの場合でどのように対応を取っていけばいいか、ということのお話をしたいと思います。

まず在宅での看取りを行うことの、クリニック側のメリットです。

患者さんにとっては、最後まで生活の場で暮らせるということが、一番大きなメリットですし、ご家族にとっては経済的に病院の入院の費用を払わなくて良かったり、と少し手間はご家族におかけすることになりますけれども、経済的なご負担を少し減らした状態で、最後まで患者さんを見ることができるというのが、ご家族のメリットかなと思います。

一方でクリニックの方のメリットですが、これはお看取りをしたらしたで、そのお看取りに対して加算がつきますので、きちんとクリニックとしては、懐は痛まない状態にしてくれてるという状況もありますし、施設基準を満たせるということが一つ重要なポイントかなと思います。

あまり私、医事には詳しくないわけですけども、手元にある資料ですと、在宅療養支援診療所に求められる体制ということで、単独型の機能強化型だと、緊急往診実績が一年間で十件以上、かつ一年間で在宅の看取り、または十五歳未満の超重症児の在宅医療の実績が四件以上、ということで、お看取りの数字の基準値として定められているわけです。

この単独型の機能強化型以外にも、連携型の機能強化型というものは、お看取り、または十五歳未満の超重症児の在宅医療の実績二件以上、という数字が定められているわけです。

それから、在宅療養支援診療所以外も、在宅専門の診療所としてさらに認定を受けられているところに関しては、直近一年間の実績がお看取り二十件以上、または十五歳未満の超重症児の医療医学管理、十件以上という数字とか、とにかくお看取りの数字が、施設基準として、施設認定であったり、保険の加算であったりといったこと、数字が使われているということです。

この基準を満たすために、在宅の看取りが非常に重要なものになっているというわけです。

その基準になっているからやる、というわけではなくて、社会的に意義があるから、基準の数字として採用されているわけなんですけれども、そこが本末転倒にはならないようにしないといけないとは思いますけれども、クリニックの側にとっても悪い話ではないという状況を作ってくれています。

お看取りを積極的にやっていくにあたって、院長先生のスタンスで積極的に行っていくと決められた場合には、当然医師やそれ以外のスタッフに対して、看取りの技術の向上をするような教育を施していく必要があります。

皆さん忘れがちなんですけど、ここがきちんとやっていないと、お看取りってできないと思うんですけど、家族への教育です。

当然事故とかの場合は除きますけれども、ご家族が息を引き取られた場合に、びっくりして、本当はお家でお看取りを行うはずだったのに、救急車と突然呼んでしまうご家族もいらっしゃいますので、人間の最期とはこういうもので、こうなったらクリニックを呼んでくださいね、ということを教育をしていく必要があります。

その患者さんの死の受容です。こういったことを医師だけではなくて、色んな職種が関わりながら、患者さんのご家族を教育していく必要があります。

それから自分のクリニックは在宅の看取りを推進しています、ということをきちんと地域に対してアピールしていくという意味で、患者さんだけではなくて、一緒に患者さんを診てくれる事業所、訪問看護ステーションとかリハビリステーションとか、あるいはヘルパーさんなどに、セミナーなどを行って、一緒に勉強していく姿勢を見せるということが一つ重要かなと思います。

一方で、お看取りを強くお勧めすることはしなくて、病院で最期を迎えたいという方には、すぐに病院に行っていただくような体制を取るというスタンスをとっていらっしゃるクリニックもあります。

こういったクリニックでは患者さんの最期を病院で看取ってらうわけですので、病院に送る時の素早さが非常に重要になってきます。

患者さんの状態が悪くなった時に病院に行っていただくわけなので、搬送中とか病院に入る手続きをしている間に、患者さんが亡くなってしまうと、非常に送り出す側にとっても、病院にとってもまずいことですので、そこがスムーズに繋がるように、日頃からサマリなどの充実を行って、紹介状をすぐ書けるような、診療情報がすぐに伝わるような体制をとっておく必要があります。

このサマリの充実は、医師だけでなく、クリニック内の他職種が関わりながら、きちんと誰が読んでもわかるようなサマリを作っていく必要があります。

むしろ普段の診療で、サマリを作っていくぐらいのつもりで行なっていく必要があると思います。

それから、最期は病院で、と言うことを比較的に許容していくクリニックですと、患者さんがクリニックに入って来られてからすぐに出て行かれるケースが結構あります。

一か月のうちに2回診察に行っていないと、居宅療養管理料が取れなかったりすることもあるので、患者さんがクリニックに入ってきてから、すぐに診察をして、出ていくまでに何回か医師が診察を行って、患者さんのことが把握できるような状態を作っておく必要があります。患者さんの診療の依頼に対する対応の速さということも重要になってきますので、事務方にその辺を徹底していく必要があるだろうという風に思います。

今日は、在宅のクリニック多々ありますけれども、患者さんに対して、あるいは患者さんの家族に対して、在宅でのお看取りをどの程度強くプッシュしていくかということで、とっていくべき対応が変わりますよ、という話をしました。

なんらかの参考になると幸いです。

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