往診ルートを計画的に組んだつもりでも、ある程度のところで頭打ちになります。医師の皆様なら頷いていただけるかと思いますが、患者を診察して時間が経ってからカルテを書くのは効率が悪いですよね?こういったことも含めて、いくつかの理由を説明しました。
以下、書き起こしです。
今日は、往診ルート問題についてお話をしたいと思います。
往診の道順とか、往診のエリアに関する問題をまとめて、往診ルート問題と私は名付けていて、今後、往診ルート問題に関しては少しずつ動画をテーマ別に撮って、アップロードしていければと思っています。
今日お話ししたいのは、往診ルート問題の中でも、至近距離を並べた自分の頭の中では上手い計画のつもりでも、患者さんのお宅を移動する時間が、だいたいそれぞれのお宅の間で十分から十五分を切ってくると効率性は頭打ちになってきます。あまり蜜に詰めすぎても、思ったほど効率は上がりませんよ、というお話をしたいと思います。
図の中で、地図、模式図を右と左ひとつずつ書いてみました。
左が、頭の中で上手に作ったつもりの計画。
右が、実際この程度でいいんじゃないの、というような計画です。
自分の往診に行っている特定の地区に、患者さんが十二人いたとして、左のように蜜に順番に、右上から左の上まで蟻のように、真面目に少しずつ少しずつ、お隣お隣お隣という形で効率よく、ルートを組んだ場合と、多少は近く行ってもいいと思いますけど、少しランダム性を持ってルートを並べた場合の二つのパターンを描いています。
意外とこの二つでは、往診の効率は総労働時間としてはどちらも変わらないことが多いと、私は思っています。
その理由が端末です。その電子カルテのパソコンのことです。
端末とか通信環境がプアであること、それから車の中で作業ってオフィスの机の上でやるよりは、やはり作業効率が落ちていますので、あまり患者と患者の間の時間が詰まりすぎていると、結局カルテが完成させられない、文章が完成させられないということがあって、仕事をクリニックに持ち帰るだけ、ということになってしまいます。
カルテも、書きかけで中途半端に保存するということが、非効率性を増すわけなので、移動時間の間に一人の患者さんのカルテを書き終わるぐらいの感覚が好ましいだろう、と私は思っています。
実際いくつものクリニックで定期の非常勤、それからスポットの勤務やってきた上で、これは確信を持って言えることです。
患者さんのお宅の間が五分とかのペースで詰め込まれてるクリニックでは、確実にカルテが書ききれなくて、クリニックに仕事を持ち帰って仕事やらざるを得ない。それこそ、本当に寝てたいのに、車から降りた時間が不毛な時間に変わってしまうだけ、ということになります。
図に描いたように、この曜日はこの地区で回ります、と言ったことを、基本的には皆さんに決めているわけです。自分の往診エリアの端から端までを往診する必要は当然ないんです。
曜日ごとにエリアが大体決まっていて、その中を上手に回ろうと頭の中では計画をするわけなんだけれども、そうはうまくいかない、というのが今日のお話です。
地区がこの図のように限られてるのであれば、もうそれ以上効率性は求めずに、ランダムに往診ルートを並べても良いだろうと思います。
というのも、この決まった往診のエリア、今日の往診エリアというふうに決めていても、その決まったエリア以外からの緊急往診の依頼なども当然ありますし、一日のうちでどこかでトイレ休憩やお昼ご飯の休憩などをしないといけませんので、その間隔といったものは、お店が途中にあるかなども考慮しなければなりませんし、あと交通渋滞が突発的に発生することがありますので、そういった事に巻き込まれてしまうことも当然あるわけです。
そういう理由で蜜に詰めていたりすると、そこが容易に破綻しやすい。
効率的に回れることをあてにしていると、何か突然のことがあった時に対応できなくなってしまうという脆弱性を孕んでしまうことになるので、やはり往診ルートを並べる上手さについては、ある程度のところで効果が頭打ちになってくる、ということを念頭に置いた上で、事務長さんは特に計画を組んでいただければと思います。
今日お話ししたことは、ドクターにはもしかしたら伝わりやすいかもしれないのですけど、事務方の人は自分が往診に回るわけではないので、なかなかイメージがわかないかもしれません。
しかし院長先生は事務方に今日のお話のようなことをきちんと説明する必要があると思いますし、事務方の方がもしこの動画を見ていたら、往診のルートや順番を組むときには、是非こういったポイントを考慮した上で、計画を組んでいただければと思います。
少し長くなってしまいましたけれども、往診ルート問題の中でも、至近距離を敷き詰めるように並べて上手に計画を作ったつもりでも、ある程度のところでその往診の効率性、仕事の効率性は頭打ちになってしまいますよ、ということについてお話をしました。
ご参考になれば幸いです。