逆タスクシフティングに注意!

働き方改革の流れで医療業界では「タスクシフティング」というワードが使われるようになりました。高時給の有資格者には本来その人しかできない業務を固めて、周りにそれ以外をサポートしてもらおうという流れです。

しかしながら、最近の病院では若いお医者さんがみな温厚であるせいか、スタッフ同士が押し付けあった仕事は医師が引き取る、というパターンが多くみられるようになっているのも現実です。

クリニックでは医師の数は極めて限定されていますから、医師が事務に忙殺されることは売上に直ちに影響を及ぼします。したがって、よほどのことがない限りこのような「逆」タスクシフティングともいえる状況は避けなければなりません。このことについてお話しました。

以下、書き起こしです。

こんにちは。

今日はタスクシフティングについてのお話をしたいと思います。

タイトルは逆タスクシフティングに注意、ということで書きました。どういうことかと言うと在宅クリニックにおいては書類が多いというのが普通のクリニックと比較した時の特徴です。

先生方が病院に勤めていらっしゃった頃は、書類は当然全て医師が書くということが原則であったかと思いますが、それは基本的に医師の頭数が多いからそれで仕事が回っていたわけです。

クリニックになってくると、実際のところ医師が発行する書類の下書きや情報収集はスタッフに任せることになります。この書類の下書き或いは情報収集の分担を巡って、結構な数の在宅クリニックでトラブルになっているのを見たことがありますので、この動画を撮影しています。

まずこの書類の下書きや分担をめぐって基本的には書類を書いてくれるクラークさんや事務員さん、相談員さんを雇えばそれで済むじゃないかというふうに思われるかもしれないですが、なかなか地域的な事情とかで事務員を十分な数、優秀な即戦力を雇ってくることは非常に難しいというケースも多々あります。

特に零細のクリニックで出来る人を引っ張ってくるには基本的にもっと看板のある、名のある組織から引っ張ってくることになるので、小さいクリニックだとなかなか実務能力があって、しかも仕事の速度も速いという方を引き抜いてくることができる可能性は、ほぼゼロに近い、というふうに考えた方がいいです。

ですから事務員さんは普通の方、求職中の方を雇ってきてクリニックの中で育てていくという流れになります。そこでこの書類の作成や医学的な用語や介護に関する用語などを事務員さんに教育しないといけないわけですが、当然医師はその教育者になり得ますが看護師にも手伝ってもらわないといけないことが多く、事務員が養成されるまでは書類の分担を看護師にかなりの割合、担当してもらうことが必要になってきます。

しかし看護師は「私は看護をやるのが仕事です」と言ったり、よく病院であるような「点滴は看護でありません医師がルート刺してください」といったことで、看護師は看護師でやりたい仕事とのミスマッチがあると、例えば離職をしたり院長に文句を言ってきたりというような原因になったりするわけです。

しかしここで看護師が書類は事務員がやるべきだ、ということを強く言ってきたとしても、必ずしもそれを100%受け入れてはいけない。ということをこの動画で強く申し上げておきたいと思います。

それはやはり病院でもよく見られることですが、ここで医師である院長先生が面倒くさがって仕事を取り上げ、じゃあ俺が書くよということで看護師と事務員両方から仕事取り上げてしまうと医師の事務負担が増えます

院長先生が書類を書くということは、当然非常勤の医師も書くことになりますので、医師の事務負担が増えてしまうと訪問件数をその分減らさないといけなくなってしまいます。そうするとクリニックの売り上げがそのまま減るという悪循環に陥ってしまいます。

ですからこういう書類の下書きの分担をめぐって看護師と事務員が揉めてる時には、タスクシフティングの逆のことが起こる。ということが十分にあり得ますので、きちんと看護師と事務員の間で話をつけさせる。そして事務員の養成を促進するような仕組みづくりを徹底する

この仕組み作りなどについては別の動画で述べていきたいと思いますけれども、まず事務員を早く育てるという姿勢を見せることと、看護師に書類を書いてくれたらきちんとインセンティブを出すとか、事務員を教育をしたらインセンティブを出すといった仕組みを作ることで、クリニックの売上を下げてしまわないように手立てを打つ必要があると思います。

病院などでも、長年ある医師が勤めていると病棟の中で看護師同士がわざと喧嘩をしたりして、医師にこれは看護師が責任を取れないから医師が全部やれとか、そういった逆タスクシフティングがどんどん累積していき、結局医師がそれに耐えきれなくなって(優しい医師が逆タスクシフティングを受けてしまいがちですが)病院をいきなりやめてしまうというようなこともあるわけです。

病院で起こっているようなことがクリニックでも起こり得るということを念頭に置いた上で先生におかれましては、運営の仕方に気をつけていただければと思います。

今回はとりとめのないお話でしたけれども、何かしらご参考になれば幸いです。

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