施設からありがたいお言葉をいただいたときに、舞い上がってしまってはいけません。ちょっとした落とし穴についてお話ししました。
以下、書き起こしです。
こんにちは。
今日は訪問診療のクリニックが施設と契約を結ぶ際、施設に入居されている患者さんと契約を結ぶ際に気をつけるべきこと、ということでお話をしたいと思います。
施設におられる患者さんとの契約は、基本的には施設さんからの紹介で行われることが多いと思います。
その際にすごく気をつけるべきポイントがあって、それについてお話をしたいと思っています。
施設さんからある日クリニックに電話がかかってきて、今後うちに入ってくる患者さんを、お宅の先生のところで原則的に全員診てもらいたいんですけどいいですか、という風にお願いをされることがあります。
こうやって診療をお願いされるとクリニックの側としては悪い気はしないです。自分たちのクリニックのやってることが評価されて嬉しいなとか、サービスが評価されて嬉しいと、依頼をされた職員も気持ちがいいわけです。
けれども、ある施設の入居者の全員を診ますということを、簡単に口約束でオッケーしてしまうことは、実はクリニックにとっては何もメリットがないです。
施設の中の入居者さんの契約が一人増えるというだけであって、本当にこの口約束で得をするのは施設の側なんです。
施設さんが訪問診療を契約するクリニックを新しく探さなくていいと言う、非常に単純なメリットが施設の側にあるわけです。
クリニックが簡単に、お宅の施設全部診ます、という風に言ってしまうと、実は施設の側にとっては、あの先生が何でも診てくれるからどんな重症の人でも受けてしまっていいや、という風に受け取るところが、やはり残念ながらあります。
一つの診療所に絞っていないところ、二つ以上の診療所に依頼をしているところなどでも、A先生とB先生に診て貰っているところで、A先生にだけ、「先生の所で全部診てもらえますよね」と言ってくるようなところは、例えばB先生が、その患者さんを選ぶような方だった場合、A先生の所に全て難しい患者が振られてくる、ということになります。
収益をなかなか黒字にすることができないような患者さんばっかり振られてくるようになるということが、いくつかの診療所に患者さん振ってるような施設においても、そういうことになりえます。
ですので今日は少し単純な話になってしまったんですけれども、施設さんから「先生の所で患者さんを全員診てもらいたいけど、いいですか。今後はもう他の所を探さなくてよくて、先生のところで全部診てもらうということいいですか」という風に言われた時は、ちょっと待って、一旦立ち止まって、クリニックの職員のことを考えて、みんなで話し合った上で受けてもいい、ということであれば受けてもいいだろうし、ちょっとあそこの施設を全員受けるには大変じゃないですか、というような職員の声があったら、一旦立ち止まってよく考えて、条件が悪そうであればお断りする、他の先生もぜひ探してもらえませんか、ということでお話を通すということも必要です。
あるいは別の先生で新しい患者さんを探してるような方がいらっしゃったら、そちらを紹介してもいいわけです。
自分のところで一つの施設を抱えてしまい、お宅は全部診ます、というような口約束は、軽々にしないほうがいいです、というお話でした。
参考になれば幸いです。